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「八頭」  千葉県成田市 石上 巌さん


一つの芋からたくさんの芽が出ることからおめでたいとされ
お正月や祝い膳などのお料理に欠かせない八ツ頭。



サトイモより水分が少なく栗を思わせるホクホクとした味わいの高級品です。
そのお正月用の収穫・出荷と忙しい時期を迎える若き生産者
石上さんの畑で出荷前の八ツ頭を実際に見せていただきました。


「八ツ頭はサトイモの王様。
 他のサトイモと食べ比べるとやっぱり違ううまさがある。
 お客さんにもうまい!と喜ばれるので
 数はそんなに多くないけど、毎年心を込めて作っています。」


と少年の雰囲気が漂う、はにかんだ笑顔の石上さんは
2000年からお父さまからの継承で農業に従事するようになりました。

当初は、反発や、迷いがたくさんあったと言います。

石上さん:
「オヤジが農作業している風景は子供の頃から見ていたので、自然に身についていた部分もあり、作業に関しての戸惑いはそれほどなかったけど、他に仕事していたし、自分のやりたいこと・・・という意味ではこれでいいのかな?という迷いがありました。」

結局、仕事を含め、家族や未来のこと、いろいろ悩みに悩んだ結果
自分なりの農業にトライしていこうと今の世界に飛び込んだそうです。
畑に向かう間、そう笑顔で話してくれました。



さて、八ツ頭ですが
芋の部分とは理解していながらも
あのゴツゴツは実際にどうなっているのでしょう?

この疑問に答えるべく
石上さんは、収穫を待つ八ツ頭をひとつ掘ってみてくれました。

掘ってみると、大きいかたまりの 周りにもころころと小さな子芋が付いていて
その下には長い根がたくさん伸びていました。

石上さん:
「子芋は、来年の種芋になるので、別にしておきます。
 そしてこの大きなボコボコした固まりが八ツ頭です。
 八つ頭があるから、八ツ頭なんでしょうけど
 8個固まっているものは少なくて
 通常は5個〜7個のものがほとんどですね。」

通常は、先に機械で茎や葉の部分を刈り取ってから掘るそうです。
掘る作業は手作業。
更には、その八ツ頭の下に伸びた根を手で取ります。

石上さん:
「これが大変なんですよ。この根切りが手作業だから、大変で1日1人30個できるか出来ないか・・・という感じですよ。家族で一日中何日間もプチプチやってます。(笑)」



今収穫されようとしているこの八ツ頭は、いつ植えたものですか?
生産にはどのくらいの時間が掛かるのですか?

石上さん:
「これは、ちょうどゴールデンウィーク前の4月中旬に種芋を植えたもので
 最初は元肥を施した土にマルチ(農業用マルチフィルム)という
 土を覆うクロスを張ったところに植えて、虫や雑草、病気、地温の変化から
 作物を守ります。
 それを気温が高くなる頃
 今年は土用の丑の日(7月21日)にマルチを外します。
 それからが今年は大変で、尋常でない暑さだったから
 とにかく一日何度も水をかける為だけに畑を往復していました。」

お水は?

石上さん:「うちは自分のところの地下水を使っています。」

全国にあまり知られていませんが、千葉県には名水の地が多くあります。
成田市や香取郡にも名水スポットがあるので、きっと石上さん宅の水に通じる
ところがある名水なのでしょう。



肥料は何を?

石上さん:
「その向う側にも"ライ麦"が植えてありますが、基本は緑肥を使っています。
 作物によくない余計な成分を取り除き、畑をキレイにしてくれるので。
 その他、落花生、普通の麦なんかも植えてあり、それを機械ですきこんで
 次の作物の為の土にします。
 緑肥のためもあるけど、冬になると作物のない畑から、霧のように土が舞い
 あがるのですが、それが道路にまで及び、危険だということで
 対策として市町村から何か植物を植えることを推奨されているのですが
 この部分の解消という面もあるんです。」

やはりこちらでも緑肥・・・
オーガニックファーマーの方々に圧倒的支持を受けるこれこそが
元来のスタイルの腐植連鎖というものなのだと思いました。

今回植えてあった普通の麦は、直接私達の口に入ることはなくても
腐食連鎖をたどり、細菌や菌類などの発酵・分解を経て
複雑な有機物は無機物に還元。
そしてこの無機物は植物に利用され
再び私達の生食連鎖に又たどり着くという訳なのですから。






↑葉や茎を取ります。(通常は機械作業)




↑来年の種芋になる子芋たち。
これを茹でるとぬめりでつるんと皮がむけます。
それに塩をつけて食べるととっても美味!


↓緑の部分がライ麦畑


  

↑これが緑肥による土台作りの風景です。  植えた麦やマメ科植物を土に挽き込んで 作ります。↑



石上さん: 「もうすぐ出荷します。
 みなさん!僕が作ったホクホク美味い この八ツ頭
 ぜひ一度食べてみてください!!」

今からシーズン真っ只中。
ご両親と一緒に根切り作業に追われる石上さん。

今年ご結婚されたので、この作業にお嫁さんも加わるのでしょう。
4人での忙しく明るい作業場が想像できました。



八ツ頭は、言わずと知れたサトイモ科の植物。
でんぷん質が多くホクホクとした食感と、食味の良さがセールスポイント。
茎もズイキとして食べることができます。
お雑煮やおせち料理に大活躍のこの八ツ頭。

ぜひ今年のお正月には石上さんの八ツ頭を召し上がってみてください。


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