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「まいたけ」  茨城県稲敷市 野口 一巳さん

香りと歯ごたえが断然違う!野口さんのマイタケ

きのこはもともと秋の味覚ですが、今では通年美味しく 味わえるようになり、店頭では様々な種類を目にすることができます。

今回ご紹介するマイタケも、数年前までは、天然モノしかなく、マツタケ並みの値がつくほどの珍しいきのこでしたが
企業の研究の結果、量産が可能となり今こうして私達の食卓でもお目にかかれるようになりました。

その反面、次々と開発される新しい品種、目を疑うような価格設定等
他社に打ち勝つことだけを重点に置いた大手メーカーの抜きつ抜かれつの熾烈な争いが激化。

ブランド化されたきのこ達は、本来乗ることのない流行という波に踊らされ
その結果、生産と消費のバランスが崩れてきていることが懸念されます。

そんな、大工場でのオートメーションによる大量生産が当たり前のきのこ生産ですが
茨城に、こつこつと限りなく自然で手作りに近い形をとったきのこ生産者がいらっしゃいます。

茨城県稲敷市の野口さん。
どのようにして栽培されているのか、教えていただきました。


ケイティ:こんにちは。

きのこの取材は初めてで、出荷までの工程も良くわからないので、今日は勉強します。よろしくお願いいたします。

野口さん:はい。(笑)


ケイティ:どのぐらいで収穫できるのですか?

野口さん:40日ぐらいですね。

シイタケは、木に胞子を接種してできますが、まいたけはおがくずを土台にして栽培します。
そのおがくずは、3〜4年使ったシイタケの原木を再利用したものなんです。シイタケは木を長く使うと生えなくなるんですね。

これまでは、古くなった原木は暖房などの燃料に使ったり、山で朽ちさせたりしていたけど、今は業者さんが要らなくなった古木を集めておがくずにしてくれます。

マイタケはブナやナラ、クヌギの木でないと生えないんですよ。
だからシイタケの古木だと最適なんです。

ケイティ:木を無駄にしないで徹底的に最後まで使い切るんですね。
何かほっとします。



野口さん:
そのおがくずに、栄養剤として小麦ふすまをプラスしています。
それに水を混ぜて。

ケイティ:お団子状になるんですか?

野口さん:いや、水分は60%位で手のひらに乗せて軽く水が滴る程度かな。
それを機械で瓶の中に詰め るんですよ。朝のうちに瓶詰めを終えて高温室で殺菌します。

ケイティ:高温室は何度ぐらいなのですか?

野口さん:180度ぐらいまで行きます。その瓶を今度夕方まで置いて、その後冷やし、次の日に菌を接種 します。



ケイティ:あまりお話しして企業秘密ばれませんか?

野口さん:そんなこと無いよ。(笑)みんな同じだから。

初めてやった頃はそういう人もいましたけど。(笑)

接種した瓶を今度は培養室に入れます。
培養室は気温25度、湿度は75%。 約25日かけて培養します。ここが一番大事な作業です。

ここで、湿度や風の流れとか日差しとかの中で何かが駄目だとあまり良くできなかったり、下手すると途中で腐ったりするんですよ。

25日過ぎると今度は、気温20度、湿度80%の少し涼しくした芽出室に移し秋を感じさせるんです。自然界と同じように。急に温度が下がると慌てて目覚めるんです。

そこに3日〜4日置いて、更に栽培室に移し10日ぐらい置いてから収穫します。

一通りの流れはこのような感じです。

ケイティ:始められてもうどのぐらいですか?

野口さん:うちは20年ぐらいですね。マイタケは10年です。

ケイティ:先ほど説明のあった瓶で栽培・・・というのはシメジも一緒ですよね?
なぜマイタケを?

野口さん:そうそう。うちも元々シメジを作っていたの。
でも今主流になっているブナシメジが出てきて、今までのシメジは"日持ちがしない"という理由で八百屋さんが買ってくれなくなっちゃって。

ケイティ:でも、味は前の方が良かったですよね?私が子供の頃に食べたシメジはもっと味が濃かった気が します。しっとりしていて。
今のはプリプリしてるけど水分と香りが少なくてスポンジみたいな・・・(笑)

野口さん:そう。美味しいんだけどやっていられなくなっちゃった。(笑)
どうしようか?やめようか?と悩んでい たときに、マイタケをやって見ようかと思ったのがきっかけ。



ケイティ:
マイタケは今多くのニーズあるのではないですか?

野口さん:うん。でも、大きい会社がたくさん作っているからね。

ケイティ:生産で一番大事なことは培養時期の環境だと伺いましたが、他にも何かありますか?

野口さん:雑菌から守ることですかね?それと光。

シメジやエリンギは暗いところでもいいのですが、マイタケ はある程度光がないと生えてくれません。

雑菌については、まず収穫後の掃除を欠かしません。
バイオ室には土足で入らないようにするとか・・・。

過去に、マイタケを始めて2,3年経った頃かな?これは規模を拡大してやっていけるかなと思って(笑) 増築して人も増やしたら雑菌にやられてしまったことがあります。

人に聞いても、考えても何が原因なのか解らなくてやめちゃおうかなと思いましたよ。(笑)

それから1からやり直しで、全部の機材を外に出したり処分したり、壁を全部拭いてキレイにしたりで、何とか大丈夫になったんです。



ケイティ:
今日は見せていただいても大丈夫でしょうか?

野口さん:見てもらうだけなら大丈夫ですよ。この前生協の奥様方も見に来られましたから。       
接種するときに持ち込むと大変なんですよ。だから常に掃除・掃除で。(笑)

ケイティ:雑菌は目に見えないから困りますよね。気候などにも左右されませんか?

野口さん:全く左右されない・・・ことはないなあ。

培養している間は光も大事なんですよ。どうしてなのか解らないんですが、去年のように天候が悪くて暗い日が続くと出来はあまり良くないですね。

大きい工場なんかは一年中ずっと室内灯を付けているみたいだけど、エネルギーに対しても、金銭的にも、もったいないなと思って、うちは窓を大きく取って出来るだけ自然光を当てるようにしています。

ケイティ:雑菌をカットするには、やはり消毒とか必要になるんでしょうか?

野口さん:きのこには一切使いませんよ。

ただ、接種室を掃除するときには、消毒を使います。
それ自体も前はしなかったんですが、いろいろな人が接種するようになったらどうしても雑菌が増えちゃって。

ケイティ:いろんな生産者の方とお話しさせていただいて思うのですが、農業って自然相手の一種のギャンブルですね。

皆さん淡々とお話してくださいますが、大変なことです。

野口さん:そうだねー(笑)

うちも、マイタケを始めた頃は市場に出していればそれだけで良かったけれど。   今は厳しくて直売所に持っていったり、あちこちに配達したりで日曜日も休めなくなりました。(笑)

ケイティ:では、そのマイタケ見せていただいてよろしいですか?



野口さん:まず、これがおがくず。

ケイティ:カブトムシの幼虫とかいそうですね。(笑)

野口さん:いますよ。その辺から来て潜ってるんですよ。持って帰りますか?(笑)

ケイティ:あ・・ご遠慮いたします。(笑)


簡単に、カブトムシがいるとおっしゃる野口さんのきのこプラントは、立派な雑木林に囲まれています。 どうやらそこから飛んでくるようです。


野口さん:このおがくずにふすまを混ぜるんです。               

ケイティ:だから、何か香ばしい小麦粉の香りがする んですね。

野口さん:毎朝毎朝混ぜるんですよ。 それを、瓶に詰めます。



野口さん:こちらが高温釜です。

中がトンネル状態になっていて、あちら側の接種室にでます。

上にあるパイプから外気を入れ、また反対側のパイプから外 に出すんです。高温の釜からそのまま出すと急激に冷え、 瓶の中に戻り空気が入るんです。
その時に雑菌が入ってしま うので、外気をいれて空気の流れに圧力を加えてゆっくり出すと穏やかに冷えるのでそれが避けられるという訳です。

冷めてしまえば大丈夫です。

ケイティ:そのタイミングが大切なんですね。



野口さん:こちらは培養室

ケイティ:あ、暑くて湿っぽい。

野口さん:ここが、気温25度、湿度75%です。

互い違いに並べて条件を同じようにします。
それでもやっぱり真ん中がダメだったりすることもありますね。



野口さん:次は芽出室に移動します。温度を20℃程度 に下げます。

ケイティ:5℃でも結構涼しくなりますね。
これで秋を感じているから 出てくるんですね。可愛いですね。



野口さん:それで最後に栽培室に移り、収穫します。

ここへ来て10日で明日収穫です。
ここまで同じタ イミングにしても、大きくなるには早い遅いがありますね。
ここで、充分に大きくなったら、手でひとつひとつ収穫します。

ケイティ:並べるのも採るのも大変ですね。

野口さん:おばさんたちが、力いっぱいやってくれています。

ケイティ:やさしさが加わるからお味が違うのではないですか?(笑)
食べ物にも心が入りますから。

野口さん:ここで、根をカットして、箱・袋詰作業をして、ステッカーを貼って終わりです。



ケイティ:野口さんはマイタケをどのようにして召し上がっていますか?

野口さん:うちは、いつも出荷の後のはねだしや、色の薄めのものを食べてるんですが、普通にお吸い物や煮付けですね。

ケイティ:美味しくいただくコツはありますか?

野口さん:買ったら、出来るだけ早めに食べてください。
それと、キレイなのであまり洗わないで。

ケイティ:洗わない方がいいんですね。買い置きしていました。(笑)

今日は長い時間ありがとうございました。

野口さん:いいえ、こちらこそ。



おいしそうなまいたけには、知恵と努力がたくさん詰まっています。




シイタケ古木のおがくず





この瓶で培養します。





カブトムシの幼虫がたくさんいるという、おがくずの山





こちらは高温釜。右側から瓶を入れます↑




培養室に互い違いに並べて条件を同じようにします。




芽出室。秋の気候の部屋です。




栽培室。あと10日ほどで収穫です。




↑ ここで袋詰めされます。  ↓


収穫する度に、その部屋をクリーニングするという気の使いようには脱帽しました。
これこそ、きめ細かいお仕というものなんですよね。
淡々と話されていましたが過去の失敗体験をバネに頑張っていらっしゃる姿を 見て私もあきらめないぞ!(何を?)という力が湧いてきました。
普段簡単に食べているマイタケですが、これからは心していただきます!

そして、お土産(ありがとうございます。)のマイタケを早速いただいてみました。
今まで私が食べていたものとは、香りといい、コキコキした歯ごたえといい「全然違う!」の一言に尽きます。

自然の光と風で育った美味しい一巳マイタケ(勝手に名前付けてすみません)。
私は、牛肉と時雨煮にしていただいてみました。 作りたても美味しいですが、お弁当にも最適です。一度お試しください。


まいたけと牛肉の時雨煮(4人分)
■材料
 牛肉すき焼き用(そんなに良いものでなくてOKです。)
 まいたけ
 しょうが・牛脂
 サラダ油 
 砂糖
 しょうゆ
 酒
200グラム
3株
1かけ
少々
大さじ3杯
大さじ5杯
大さじ2杯

■作り方

1.フライパンに牛脂を溶かし、サラダ油を少々足し、牛肉を炒める。
2.まだ赤みが残り炒めきれていない状態のうちに、砂糖をまぶし、
  カラメル状態にしながら更に炒める。
3.炒めながら、酒、しょうゆを加える。
  (わりしたを使わない、関西風すき焼きと同じ手順)
4.しょうがのみじん切りと、マイタケは洗わず手でほぐして入れ、全体を絡めるように
  混ぜれば出来上がり。 お酒にも、ご飯にも良く合います。

 

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